出展者特集記事
2024年1月12日
“日本ディスパージョンセンター(CCDT)”は、溶媒などの分散媒中に浮遊する固体・液体・気体の分散・凝集(ディスパージョン)に関連する様々な分野と技術を研究・調査の対象として、2020年に設立された一般社団法人である。産業界における分散・凝集に関する課題をワンストップで解決することを目指している。
近年、分散・凝集に関連する分野が拡大し、化粧品、食品、電池など様々な業界で必須のスキルとなっている。しかし、特に濃厚分散系のハンドリングでは、理論ばかりでなく経験やスキルを要する解析やトラブルシューティングが課題となり、研究者・技術者の悩みの種となっている。CCDTの目的は、そのような現場の分散・凝集技術に関するニーズに応えることである。初学者からエキスパートまで、様々な分野とレベルに対応したサービスやノウハウを提供する。既に欧州では、ドイツで同様のディスパージョンセンターが活動しているという。 CCDTは、分散・凝集技術を材料(分散剤、溶剤、樹脂など)、機械(粉砕機、分散機、混練機など)および評価(評価・分析機器、分析サービス)の三つの側面から捉え、関連する企業の参加を募っている。さらに、これを補強するため標準化組織・学会や大学等の研究機関とも連携をとり、分散・凝集を利用したもの作りを支援する体制をとっている(図1)。 当面の活動として、会員を対象として技術研究会、オンライン基礎講座、成果発表会、交流会などが行われている。技術研究会では、分散・凝集に関連する議論を通して、必要とされる知識の体系化、最新情報の収集、課題の共有化が行われる。また、オンライン基礎講座では、動画を用いた分散に関する基礎知識の習得が可能である。技術研究会やオンライン基礎講座の内容は体系化され、教科書として発刊される計画で、2023年8月に固液界面構造や粒子間相互作用など基礎・理論をまとめた第1巻が刊行された(図2)。引き続き、評価編となる第2巻、応用編となる第3巻の出版準備も進んでいる。アカデミアや学会では扱われることの少ない、実践的な技術やノウハウが産業界で共有されることが期待される。
図1: 日本ディスパージョンセンターの構成
図2: 分散・凝集の教科書
nano tech 2024では、CCDTのブースに分散関連装置・機器メーカー(AIMEX、ニッカトー、PRIMIX、写真化学)、分散評価機器関連メーカー(アントンパール・ジャパン、LUM Japan、協和界面科学、マジェリカ・ジャパン)の展示も行われる。ここCCDTのもとで、リチウムイオン二次電池の電極製造工程における分散工程について行った合同実験が紹介される。また、セミナーではドイツのディスパージョンセンターとも連携したセミナーも予定されている。
2-1 実用微粒子濃厚分散系のためのプロセスと評価の最前線
次世代エレクトロニクス&二次電池に関する合同実験報告
(1月31日 11:30-13:15シーズ&ニーズセミナーB/東4ホール )
2-2 主催者&日本ディスパージョンセンター共同セミナー
(2月2日15:30-17:00 シーズ&ニーズセミナーB/東4ホール)
日独の電池に関連する分散技術、評価技術が紹介される。通訳付、無料、要事前登録。
(註)図はすべて日本ディスパージョンセンターから提供された。
小間番号 : 4N-21