Nano Insight Japan

【楠本化成】
量産単層カーボンナノチューブTUBALL™
-リーゾナブルな価格、豊富なラインアップで無限の可能性をもつ添加剤-

2018年12月28日

楠本化成

楠本化成は、塗料・印刷インキ・シーリング材等への添加剤「ディスパロン®」(塗布時のダレを防ぐチクソ剤、顔料を均一に分散させる分散剤、泡やハジキを防止する表面調整剤)を開発し、ワールドワイドに販売している企業である。この多くのノウハウを伴う分散技術が縁で、楠本化成は、世界的に単層カーボンナノチューブ(TUBALL™)を営業展開するOCSiAl社の日本総代理店となった。OCSiAl社はルクセンブルグに本拠を置きロシア、中国等で製品開発を行う国際テクノロジー企業である。

nano tech展には、OCSiAl社が過去3年連続してTUBALL™の出展を行ってきたが、nano tech 2019では楠本化成が「TUBALL™およびそれを応用する上でお客様が直面する課題へのソリューション」を中心に出展する。単層カーボンナノチューブの活用に関心がある方は是非ブースにて展示品を実見し、説明員と意見交換されることを期待する。以下、そのための予備知識となるTUBALL™に関する情報を紹介する。

1.TUBALL™の生産規模、価格および基本的特性

TUBALL™は生産性の良好なOCSiAl独自の技術で造られている。2014年の年間生産量は10トンで、この大量生産技術により他社同等品に比べ1/50の価格となる$3,000/Kgで市場に届けることが可能となった。リーゾナブルな価格と高導電性をはじめとする特徴により、TUBALL™は現在、SWCNT世界市場の90%をシェアしている。2019年には50トン/年の生産設備が立ち上がり、さらに2022年までに1,000トン/年に増強される予定であり、価格の低下とそれによる普及促進が見込まれる。TUBALL™ には表1に示すように、純度により2種類のグレードがある。

表1: TUBALL™単層カーボンナノチューブ(SWCNT)粉体の技術仕様

a) SWCNT80%:製造時の触媒がそのまま残留するもので(<15wt%)、SWCNTの含有量は80%以上である。触媒残渣が問題にならない機械的強度、電気伝導度、熱伝導度等の向上を目的とする大多数の用途に適用できる。被加工素材重量の0.001~0.1%添加するだけで、素材のこれらの特性を大幅に改善できる。

b) SWCNT93%:若干高価格になるが触媒を後処理により除去したものであり、触媒の残存量は1wt%以下である(図1)。触媒残渣が問題になる、例えばリチウムイオン電池の電極材の導電性向上向け等に適する。

高導電性はTUBALL™の代表的な特徴である。これは、製造法に由来するものであるが、SWCNTのグラファイト化率が極めて高いことによる。図2に示すように、グラファイト構造の面内伸縮振動に起因するラマンバンドであるGバンドの強度と、欠陥に由来するDバンドの強度比G/Dは100程度である(多層カーボンナノチューブ(MWCNT)ではG/D~1程度である)。これが少量添加で導電性向上が計れる所以である。

図1: TUBALL™(SWCNT93%)のTGA曲線 (触媒の残存量は1%以下)

図2: TUBALL™(SWCNT93%)のラマンスペクトル (G/D>100)

2.TUBALL™関連商品群

TUBALL™はその優れた導電性・熱伝導性・機械的特性より、ありとあらゆる素材を改善する添加剤としての幅広い用途があるとOCSiAlでは考え、それら一つ一つに対応する中間応用製品を数多く開発している。ここでは電池への添加用「TUBALL™BATT」およびシリコーンゴムへの添加用「TUBALL™MATRIX」関係の製品を表2に示す。その他の用途についてはブースにてご確認頂きたい。

表2: TUBALL™SWCNT関連商品ラインアップ

3.実用化事例

実用化している事例として、電動バイク(リチウムイオン電池のエネルギーおよび出力密度の向上、タイヤの長寿命化、フレームの強度向上)(図3)、Oリング(耐油、耐ガス性の向上。石油掘削機に効用大)(図4)、ラテックス製防護手袋(導電性向上)(図5)等がある。

図3: 軽量で長距離走行電動バイク

図4: 耐油、耐ガス性のOリング

図5: 帯電防止ラテックス手袋

4.今後の進め方:顧客と協創で応用展開

楠本化成はTUBALL™の展開を次のように図って行きたいとしている。
①多方面の用途を考慮した分散液またはコンパウンド状商品群(表2)の提供。
②顧客が直面する問題点に楠本化成の持つソリューションの提供。
③TUBALL™はREACH(化学物質の安全に関する欧州連合規則)を取得済であるが、さらに個別の安全性課題に対してもOCSiAlと共に取り組みを深める。

ブースにて、新たな応用に向けて、協創によるソリューションのキッカケが生まれることを期待する。

(註)図表は全て楠本化成提供

小間番号:5J-07

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