Nano Insight Japan

【ユシロ化学工業】
自己修復性ポリマーゲル「ウィザードゲル」 -切っても再生する自己修復性に加え、高靭性・高伸縮性・耐乾燥性を持つタフでスマートな素材-

2019年1月16日

ユシロ化学工業

ユシロ化学工業は、金属加工に使われる切削油剤・塑性加工油剤やビルメンテナンスに不可欠な床用ワックスなどの生産・供給をワールドワイドに展開している企業である。また、新規事業の開拓にも力を入れ、今までの世の中にない新規な自己修復性を有したタフなポリマーゲル「ウィザードゲル」を開発し、2018年6月よりゲルの素となる3種混合型の製品「ウィザードパック」の販売を開始している。nano tech 2019の出展はこのウィザードゲルに特化し、従来の「ユシロ化学=潤滑油剤メーカ」の枠を超え、医療・福祉、電子材料をはじめとする様々な業界に新たな提案を行う。ブース来訪者には、切っても再生するウィザード(魔法のような)ゲルの実演を見て頂き、また直接ゲルに触ってその感触を実感して頂き、お客様の抱えている問題の解決やアイディア展開に役立ちたいと願っている。

1. ウィザードゲルの構造と自己修復メカニズム

ウィザードゲルは、大阪大学大学院 理学研究科 原田グループが見出した新規なポリマーをシーズに、同グループと共同開発したものである。その構造は、図1 (a) に示すように、ポリマーにホストとなる凹状の分子およびゲストとなる凸状の分子を導入したものである。このような構造のポリマーでは、ホスト分子にゲスト分子が包接され(図1 (b))三次元網目構造となる(図1 (c))。このような作用はホスト-ゲスト相互作用と呼ばれている。このホスト-ゲスト相互作用はポリマー主鎖の結合より弱いため、外力が加わった個所ではホスト-ゲスト部分が選択的に解離(切断)する(図1 (d))。その後、切断面を接触させると再びホスト-ゲスト相互作用によりホスト分子にゲスト分子が包接され切断面が修復する(図1 (e))。また、ゲルの表面にはホスト、ゲストが無数に存在するので、切断面ではないゲル塊を接触させても接着する。なお、ウィザードゲルはソルベントとして水を含むヒドロゲルであるが、ユシロ独自の技術により、ゲルの状態を長く安定に保持するために特別な添加物を加え、耐乾燥性を高めている。

図1: ウィザードゲルの自己修復の仕組み(ホスト-ゲスト相互作用)

2. ウィザードゲルの性能

ウィザードゲルは、①何度切っても修復し元の強度に復帰する自己修復性(図2)に加え、②カッターナイフも通しにくい高靭性(図3)、③元の寸法の10倍近く伸び、再び元の寸法に戻る高伸縮性/形状記憶性(図4)、④2トンの圧力を受けても壊れない耐圧力性(図5)、④大気中に放置してもゲル状態を長く保持する耐乾燥性(図6)等を備えたタフな新素材である。また、⑤外観は無色であるが染料で着色することが可能で、さらに様々な形状に成形することができる(図7)。

図2: 破断と再修復を5回繰り返した時の破断力(左)と試験後の破断個所

図3: 高靭性

図4: 高伸縮性

図5: 耐圧力性

図6: 耐乾燥性

図7: 染色性と成形性

3. 提供製品

図8: ウィザードパック

ユシロ化学工業は、ゲルの素となる3種混合型のパッケージ製品「ウィザードパック」(図8)を提供しており、ユーザのアイディア、用途に応じてゲルを成形して頂くことが可能である。ウィザードパックには重合方法により、熱重合タイプの「ウィザードパック熱」と、光(紫外線)重合タイプ「ウィザードパック光」の2品種がある。

4. 想定用途例

ユシロ化学工業はウィザードゲルの特徴を活かした用途の一例として医療研修用3次元モデルを提案している(図9)。手術や処置の手技トレーニングに使用する心臓や腎臓および皮膚のモデル品は、切ったり針を刺したりすることで廃品となるが、ウィザードゲルを使用することで繰返し使用が可能となり、手技トレーニングの更なる普及に貢献できると考えている。また、ウィザードゲルは水を含有するポリマーであるため、人体に類似した質感を再現できることから現行モデルよりもリアリティに富むところをアピールしたいとしている。
より詳しいことは、ブースにて展示品を前に質問して頂きたい。意見交換や情報交換を通して、新たな応用展開が生まれることを期待する。

図9: 左より心臓モデル、腎臓モデル、皮膚モデル

(註)図は全てユシロ化学工業提供

小間番号:6D-04

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