Nano Insight Japan

【伊藤忠テクノソリューションズ】
最新IT技術を駆使して新材料創成に貢献する ナノスケール材料設計プラットフォームExabyte.io
〜学習機能を備え、クラウドコンピューティングで使いたいときに材料設計計算〜

2020年1月7日

CTC

1. マテリアルズインフォーマティクスで新材料創成に先行する

ナノテクノロジーはすべての産業の基盤技術として、新材料の創成によりイノベーションを図る。従来、新材料の開発には、数多くの実験の繰り返しで長い時間がかかっていた。これに対し、近年の材料科学の進展は、電子や原子の振る舞いを解析して物性を予測する第一原理計算などを発展させ、材料データも積み上がってきた。このため、情報科学、データ駆動科学により、材料物性を予測し、期待される材料を選んで実験をすることにより材料開発期間の大幅短縮を可能にする、マテリアルズインフォマティクス(MI)による新材料の創成が盛んになってきた。これに応えて、伊藤忠テクノソリューションズは、最新IT技術を駆使した使いやすく、高機能のナノスケール材料設計プラットフォームを、MI・材料シミュレーション企画展示のコーナーに出展する。同社のロゴ、社名の通称CTCは、社の行動指針「Challenging Tomorrow's Changes」に由来する。CTCは、日本の技術者・研究者とともに社会課題の技術的解決に挑戦し、ITやシミュレーションの技術を蓄積してきた。

2. ナノスケール材料設計プラットフォームExabyte.io

このような背景、技術の蓄積のもとにCTCは、ナノスケール材料設計プラットフォームとして米Exabyte Inc.の、材料開発を支援するWeb利用型ナノ解析クラウドサービス「Exabyte.io」を提供する(図1)。
 図1はその特徴を端的に表している。ユーザーはクラウド環境にアクセスし、第一原理計算、分子動力学計算等により材料物性をシミュレートする。AWSやAzureといったパブリッククラウドを使うので計算の待ち時間は起こらない。システムには材料計算ソフトも用意されているため、ソフトウェアの導入・立上げは要らない。
ユーザーは自分の端末からシステムを使う。インターネットからアクセスし、アカウントさえあれば、どこにいても利用できる。利用料は30万円からで、料金をチャージしておいて、使った時間だけ支払う。
 図2には、大まかなシステム構成を示した。技術のバックグラウンドの異なるユーザーが連携して材料設計を行える。クラウドには大型コンピュータを中心に、ユーザーの機密を守り、ナノ、マイクロ等解析対象のスケールに応じたマルチスケール計算モデルが用意され、入出力データはデータプラットフォームで管理される。解析ソフトウェアは、クラウド上にインストールされているため管理の必要がなくいつも最新のバージョンが利用できる。計算に必要なデータは、連携している” Materials Project”から取得できる。”Materials Project”は、アメリカで先行して行われたマテリアルゲノムプロジェクトの推進役であったマサチューセッツ工科大学(MIT)が運営するシミュレーションに必要な物質材料のデータベースである。ユーザー独自の計算モデルを連携して使用するためのリンク機能も備えている。さらに、機械学習機能が加わった。システム内で計算したデータを蓄積、学習させた後、構造データをもとに物性を機械学習機能で予測できる。パソコンで数十時間かかる物性計算が数分で完了する。

ナノスケール材料設計プラットフォームExabyte.io

図1: ナノスケール材料設計プラットフォームExabyte.io

材料設計プラットフォームExabyte.ioのシステムイメージ

図2: 材料設計プラットフォームExabyte.ioのシステムイメージ

3. ナノスケール材料設計プラットフォームで材料物性・界面特性などを予測

ナノスケール材料設計プラットフォームExabyte.ioでは、様々な材料特性の解析が行われている。
 自動車排気ガスの浄化などで起こる白金(Pt)表面への一酸化炭素(CO)の吸着のエネルギーを、図3の構造に対し、第一原理計算で求めた。計算で得られた1.69 eVの値は、実験値1.143〜1.71 eVの範囲内にあり、計算モデルの他の系への適用拡大の妥当性が確かめられた。

Pt111表面にCOが吸着した構造

図3: Pt表面へのCO吸着構造
FPC一体型マイクロ流体デバイス

電熱ヒーターの拡大写真

図4: 分子動力学によるエポキシ樹脂架橋シミュレーション

    

化学反応を考慮した分子動力学計算では、エポキシ樹脂架橋シミュレーションを行い、架橋反応と分子パラメータを調整して、コンピュータ上で架橋した1分子を作り出すことができた(図4)。
 アルミ酸化膜とPA6(ナイロン)の異材接合の破断シミュレーションを行って、接着強度・密着性評価を行った(図5)。
 分子動力学シミュレーションによる炭素繊維複合材の引張試験解析を行い、日本複合材料学会誌に論文が掲載された(Vol. 45, No. 1(2019), pp. 19-25)。図6はその中の応力—歪み特性計算例で2つの組成について示されている。この論文の共著者は、CTC、材料メーカー、大学で業種、専門、居場所の異なる研究者が、ナノスケール材料設計プラットフォームExabyte.ioを介して共同研究を行った。

Al-PA6異材接合界面シミュレーション

図5: Al-PA6異材接合界面シミュレーション

炭素繊維複合材の応力—歪み特性

図6: 炭素繊維複合材の応力—歪み特性

4. MIの展開・ナノスケール材料設計プラットフォームExabyte.ioの利用拡大に向けて

新材料創成に向け、MIの必要性を感じても、そのソリューションの提供があることに気付かず、利用に抵抗を感じることもある。このため、CTCは1日の体験実習セミナーを随時開催している。 nano tech 2020においては、1月29日(水曜日)16:00よりシーズ&ニーズセミナー A会場において、「最新IT技術による材料開発期間の短縮・機能性向上への挑戦 ~高分子、複合材、高機能材料の材料設計~」と題する45分のセミナーを予定している。

(注)図は全て伊藤忠テクノソリューションズから提供された。

小間番号:1W-T22 (MI・材料シミュレーション特別展示)

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