Nano Insight Japan

【旭化成】
透明な微小配線フィルムを開発
─商品タグ用アンテナや面状ヒーターなどで事業化目指す─

2020年1月26日

旭化成

旭化成は透明な樹脂フィルムに幅が最小100ナノ(10億分の1)メートルの目に見えない複雑形状の金属配線を作製できる技術を開発した。無線自動識別(RFID)用タグのアンテナなどで事業化を目指している。商品管理などに使う現在のRFIDタグには主にアルミニウムフィルムを配線状に加工したアンテナが使われる。ところがタグは目ではっきり見えるため、商品の意匠性を損なう問題がある。それを透明のタグに置き換えることが狙いだ。  
透明な導電性材料としてはITO(酸化インジウムすず)が様々な分野で使われている。開発した微細な銅配線はITOに対して面抵抗を10分の1レベルに下げることができ、より省エネにできる。さらに金属の銅はセラミックスのITOより割れにくく曲げに強い。ITOはテレビの画面や太陽電池など硬い部材に使われることが多いのに対し、銅配線フィルムは曲面形状の商品に直接張り付けることもできるようになる。  
旭化成は、この微細な銅配線フィルムを独自の印刷技術を用いロールツーロールで製造することで高い生産性を確保する。一般的に解像度と生産性はトレードオフの関係にあるが、代表的な詳細印刷技術であるフォトリソグラフィーに対し100倍の生産性と代表的な商業印刷技術のオフセット印刷に対し100倍の解像度を併せ持つ領域を目指している。  旭化成では、この透明な微少配線フィルムをRFID用タグのアンテナや透明ヒーターへの応用を検討している。これらの技術とサンプルをnano tech2020国際ナノテクノロジー総合展で紹介する。

1.商品タグ用アンテナで1年後のサンプル出荷目指す

新しい技術は、まず倉庫や陳列棚に保管した品物の管理用タグ(図1)に使えると期待している。想定しているのは幅がサブマイクロメートル~数マイクロメートルの銅配線を要求される透過率に応じて数~数百マイクロメートル間隔で格子状に印刷したアンテナ。開発中のアンテナの基板にポチエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いている。PETフィルムの可視光透過率が約92%で、その上に配線を形成しても90%程度までしか低下しない(線幅1マイクロメートル、100マイクロメートル間隔の場合)。このアンテナと専用の微小なIC(集積回路)を組み合わせるとタグになる。タグを商品に直接張り付けてもほとんど見えない。  旭化成はアンテナを印刷したロール状のフィルムをタグメーカーなどに販売する予定。2021年3月末のサンプル出荷を目指している。

開発中のRFID用タグと想定する用途。従来のアルミフィルム製と違って見えにくいため意匠性を損わない。様々な品物の在庫管理にも利用できる

図1: 開発中のRFID用タグと想定する用途。
従来のアルミフィルム製と違って見えにくいため意匠性を損わない。様々な品物の在庫管理にも利用できる

2.透明ヒーターは自動車用などが目標

透明な微少配線フィルムに通電し加熱するヒーター(写真2)も試作している。現在、自動車のヘッドランプは、ハロゲンや高輝度放電ランプ(HID)から低消費電力の発光ダイオード(LED)に置き換えが進んでいる。ところが降雪地域ではLEDを用いたヘッドランプは発熱が少ないため雪が付着して光が遮られ視界不良が起こるという問題が起きている。そこでヘッドランプにフィルム状ヒーターを張り付ける。  将来的には自動車用フロントガラスに張り付けるフィルム状ヒーターへの展開も視野に入れている。現在のパイロットプラントでは幅25センチメートルのフィルムに配線を印刷できる。フロントガラスに展開するには印刷する幅を1メートルほどに広げる必要がある。市場のニーズを先読みしながらより幅広の印刷もできるようにするかどうか検討する。

試作した透明ヒーターと期待する用途

図2: 試作した透明ヒーターと期待する用途。

(註)写真はすべて旭化成提供

小間番号:1W-F10

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