Nano Insight Japan

【マイクロフェーズ】
各種ナノ材料を中心とした材料処理技術を開発~粉末材料にナノカーボンや金属をコーティングできる装置の開発から受託加工、研究開発サポートまで~

2023年1月10日

microphase

ナノテクノロジーの研究開発を事業の柱とする筑波大学発のベンチャーとして、「役に立つ研究開発」をモットーに、代表取締役の太田慶新氏が1999年に筑波に設立した研究開発型企業である。カーボンナノチューブをはじめとする「ナノ」に由来する新規技術、新規材料の開発とともに、お客様の研究開発のサポートもしており、各種公的機関からの助成事業も継続的に受託している。
nano tech 2023では電池材料等の表面処理技術の一環として、カーボンナノ材料を粉末サンプルの表面に成膜する回転CVD装置、粉末や粒状材料に金属を付着させる粉末蒸着装置を紹介し、同社の装置のラインアップを用いて、お客様の試料に成膜をする受託加工を中心に展示する。上記ラインアップの中には自作の3000℃高温焼成炉もある。新たな展開を可能とするお客様との情報交換が出来ることを期待している。

1.粉末にナノカーボンをコーティングする回転CVD装置を開発

回転CVD装置は粉末試料の表面にナノカーボンを均一にコーティングするために開発された装置である。図1(a)に示すように、反応槽(炉心管)を回転させながらコーティングする仕組みになっている。図1(b)はSi粉体上にナノカーボンをコーティングする場合の模式図である。炭化水素ガスとしてアセチレン或いはエチレンを用い、炭化水素が熱分解して炭素成分がSi粉末表面上に形成される。この際、回転に伴う攪拌を加えることにより、粉末試料へのコーティングをムラが少なく均一に処理することができる。図1(c)に炉心管の内部構造を示す。炉心管の中心部にある黒色のプレート上にSi粉末が置かれ、炉心管の回転によりプレート上のSiが上から下へ落ちることで、攪拌が行われる。

 

図1(a)

左:図1(b)、右:図1(c)

現在考えられている応用分野は、自動車関係ではリチウムイオン電池や全固体電池用、環境・エネルギー分野では二次電池用電極材料である。 本装置は炉心管長が20~30㎝と短く、コーティング処理量は少ないが、処理量を上げるために炉心管長を1.2mとした長尺CVD装置もある。炉心管は回転できないが、減圧にしてガスが通り易い治具にする等の工夫をすることにより、回転CVDに近い性能のナノカーボンコートSi粉末を多量に作製することが出来る。

2.粉末に金属をコーティングするため新規開発した粉末蒸着装置

一般的に固定できない粒子状試料への金属蒸着は難しいとされているが、電池材料やセラミックへの金属性付与等の分野においてニーズがある。粉末蒸着装置の構成図を図2(a)に示した。上部の坩堝に蒸着用金属をおき、真空下、加熱により金属を蒸発させ、下方に置いた粉体試料に蒸着させる。ここで試料台を振動させて、粉末を回転させることにより、均一な金属蒸着が可能となる。その応用例として、白色微小ゴムボールに銅を蒸着した例を図2(b)に示した。蒸着膜としては、各種金属の他にシリカ等も可能である。

 

左:図2(a)、右:図2(b)

3. CVDカーボンコーティング依頼加工の受託サービス

ご依頼頂いた試料にカーボンコーティング処理を行い、用途に応じて、回転CVD 装置、長尺CVD装置、もしくはコールドウォール型CVD装置を用いて成膜を行っている。
 図3はSi上にカーボンを成膜したものである。
また、カーボンコーティング以外にも、セラミックコンデンサへのSiO2絶縁膜のCVDコーティング、カップリング材のコーティング、Ti、Mo等の金属コーティング等の依頼加工にも対応している。

図3

4. Li電池用Si負極材料における材料処理技術の提案

リチウムイオン電池の次世代負極材として有望視されるSi電極はその膨張収縮問題への対応が大きな課題となっている。マイクロフェーズ社はLi電池関連の材料処理技術の知見を増やして、マーケットに良い提案ができる状況を作りたいと考えている。その一つとして、膨張収縮に強い多孔質構造のSiを目指して、金属還元法により、酸化シリコンから、ナノポーラス構造を有するポーラスシリカを作製し、それをさらに還元して、 ナノ多孔質構造を有するポーラスSiの作製が可能になることを確認している。また、連続気泡のポーラスグラファイトを作製し、その上にSiを蒸着する方法も検討している。先に林野庁PJにおいて、大手電機メーカーと共同でBiomass事業として廃材からCNTを作り出す脱炭素の技術等も有しており、現在もみ殻を用いてポーラスカーボンを作製している。さらに人工グラファイト製造時に使用される、2800℃~3000℃まで昇温可能な焼成炉を用いて、2800℃でポーラスカーボンを焼くことにより、結晶性の高いポーラスグラファイトを作製する。その上にナノSiを蒸着し、Si電極のLi-Si結合による膨張がポーラスグラファイトの構造によって、どの程度抑制され、その性能向上が何処まで達成できるかの研究を進めている。 マイクロフェーズ社は回転CVD装置等と同様に、この2800度℃~3000℃まで上昇する高温炉も自作しており、必要と考えれば、自分たちで装置を設計、作製する技術力を有し、常に新しい技術開発を志向している。Li電池用材料処理技術、或いはこうした高温炉の利用等に興味をお持ちの企業の方々からニーズをお聞きし、技術協力を進めたいと考えている。

 

 (註)図はすべてマイクロフェーズから提供されたものである

小間番号 : 1W-13-02

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