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出展者特集記事

扶桑化学工業

【扶桑化学工業】
超高純度コロイダルシリカ(Quartron®)の製造技術をベースに機能展開したシリカ製品群
~各種用途展開を目指して~

2025年1月17日

扶桑化学工業株式会社は1957年に創業され、有機化学合成事業からスタートした。現在はリンゴ酸やクエン酸等の有機酸を食品添加剤や洗浄剤用途等に展開するライフサイエンス事業と、超高純度コロイダルシリカを、主として半導体研磨用途に展開する電子材料事業を大きな柱としている。
研磨剤は1987年に、同社の超高純度コロイダルシリカがシリコンウェハーのファイナルポリシングスラリー用の研磨材原料として半導体業界に採用されて以来、シリコンウェハーの鏡面仕上げ、LSIの平坦化工程CMP(化学機械研磨)等で使用される研磨材原料として最先端の半導体領域ではトップシェアを確保している。これと共に扶桑化学工業は超高純度コロイダルシリカの特徴を活かしたシリカの機能展開を進めてきた。
本nano tech展には、10年ぶりの出展であり、超高純度コロイダルシリカの機能展開で培ってきた各種のコロイダルシリカ製造技術を活用した製品群を展示し、研磨以外の様々な分野における用途展開を、同社の”好奇心でウレシイ未来を”をキーワードに、お客様と共にユニークな製品群を開発すべく、来場者と意見交換することを期待している。
ここでは超高純度コロイダルシリカ製品群を形成する技術マップと今回の目玉展示ともいえる中空シリカパウダー、および高純度オルガノゾルについて概説する。

1.超高純度コロイダルシリカ製品群とそれを支える製造技術

展示品は独自の精製法で作製した超高純度アルコキシランを出発原料として、ゾルゲル法により製造した、純度99.9999%の超高純度コロイダルシリカ(同社研磨剤用途のPL,BSシリーズを含む)をベース材料として、製造したものである。合成因子を制御することにより、粒子径は10 ~ 200nⅿの範囲で、単分散、粒度分布もシャープという特徴を有している。また会合度等の制御も可能である。
この超高純度シリカ製造技術をベースに①表面修飾技術、②有機溶媒分散技術、③シリカコート技術、④粉体加工技術を用いて、中空シリカパウダー(Miralica™) 、高純度オルガノゾル、超高純度コロイダルシリカ表面修飾シリーズ、シリカナノパウダー等に展開している(図1)。

図1 : 扶桑化学工業(株)の超高純コロイダルシリカ製品群

表面修飾技術では、分散性やそのほかの機能性を付与している。例えば、カチオン修飾やアニオン修飾により、粒子のゼータ電位を変化させて、分散性を制御する、キレート配位子を修飾させて、金属イオンの捕捉を可能とする、或いは各種金属の研磨用途の可能性等を探る、さらにはコロイダルシリカ上にセリア等の別種酸化物等をコートするなど、多様な表面修飾法を有しており、コロイダルシリカの新たな用途展開の可能性を広げつつある(図2)。
また超高純度コロイダルシリカに表面コーティングして、乾燥させ、凝集を抑えたシリカナノパウダーもある。

図2 : シリカコロイダルゾル表面修飾技術例

2. 中空シリカパウダー

同社の今回の一押し製品であり、最大の特長はサブミクロンサイズで粒子形状及び大きさが揃っており、凝集が少なく、均一なシェル厚みを有し、粒子径分布がシャープであることがあげられる。本展示会では粒子径が0.5μm、0.7μmの製品を展示する。超高純度コロイダルシリカをベースとしているため、いずれも金属不純物量は50ppm以下と高純度であり、比誘電率は2.0と低い(図3)。

図3

中空シリカの製造法は、合成した有機ポリマー粒子をコアとし、その上にシリカをコートしてコアシェル粒子を作製し、次に、コア部の有機ポリマー粒子を熱分解除去することで、中空シリカを製造している。粒子径は均一で、シェルも強固であり、また空孔径、シェル厚みの調整、さらには、中空シリカ上に表面修飾基を付与して、表面性状を変えることも可能である。 サブミクロン中空シリカはその構造の特性を活かし、建材や車載バッテリー用の断熱材用途、また比誘電率が小さいこという特性を活かし、高周波用基板向けの低誘電材フィラー用途への展開をはじめ、さらには純度が高いことを活かしたアプリケーションへの展開を考えている。

3. 高純度オルガノゾル(有機溶媒分散コロイダルシリカ)

高純度オルガノゾルは、有機溶媒にシリカナノ粒子を安定的に分散させたコロイダルシリカである。現在はシリカパウダーを有機溶媒に分散させたアプリケーションが主流ではあるもののより小さいシリカナノ粒子が求められるアプリケーションにおいては、ハンドリング性や溶媒への分散がより困難になることが予想される。この課題を解決するソリューションとして、扶桑化学工業独自の超高純度コロイダルシリカを用い、その表面を改質し、有機溶剤分散シリカスラリーの製品形態として開発されたものである。
今回展示する扶桑化学工業の超高純度コロイダルシリカを原料とした高純度オルガノゾルは、金属不純物が1ppm以下と高純度、粒子径は 10nm ~ 200nmで調整可能、また、用途に応じて、表面構造を変えることで、各種分散媒体への対応を可能とする(図4)。
この高純度である特長を活かし、絶縁性が求められるアンダーフィル材、絶縁コーティングフィルム向けフィラーや、高信頼性積層セラミック電子部品用の焼結性コントロール添加材等、高純度を必要とする用途の可能性を探っている。

図4 : 扶桑化学工業の高純度オルガノゾル特性

ご来場の方々には半導体産業の研磨材としてデファクトスタンダード化されたコロイダルシリカを事業とする扶桑化学工業が、新たに開発した高純度の中空シリカパウダー、有機オルガノゾル等の展示品をご覧いただき、超高純度コロイダルシリカの魅力、その多様性に精通した担当者に、どの様なことが出来るか、こんな事はできないか等々、気軽に質問し、超高純度コロイダルシリカの魅力を少しでも知る機会となることを願っている。

(注)図は扶桑化学工業から提供された。

小間番号 : 4K-23

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